体験レッスンをする際、まだピアノにあまり触ったことのない幼児の生徒さんは、基本的に楽譜を使いません。まず、ピアノで何が出来るか、どんな音が出るかを一緒に探してます。一緒に好きな歌を連弾したりもします。その際、ゲンコツ弾き、一本指など好きな形、好きな音で弾かせてます。
しかし、このメタメタ弾き(…という名前をつけたくないのですが)が衝撃的だったようで、保護者の方に怒られてしまったことがありました。ただ遊んでるだけで、レッスンになってないと思われ、ドレミやきちんとした手のフォームなどでレッスンしてもらいたかったようです。
子供ながらに一生懸命自分の音を探し、表現しようとしている姿と、この子の生み出した音楽はとても純粋で心打たれるものでした。私は、音楽は字の通り、音を楽しむことであり、まず音を聞くこと、それを表現して楽しむことが第一だと思っています。
話がそれますが、語学と音楽は似ていて、学ぶ際もまずその言葉を聞くこと、そして自己流でいいから真似して口に出してみることが大切だと思います。(自身の語学学習の体験ですが、最初から書いたり理論を詰め込んだりだけしてたので、恥ずかしながら、それに気づくまでは全く伸びませんでした・・・)
オーストリア留学中に個人レッスンをしていた時に、音符の読み方を始めたばかりの女の子が突然作曲してきました。もちろん、色んな音を並べただけのものです。しかし、それを音にしてみたときに、彼女の個性が見えました。まだ習いたての音で表現しようとした彼女の音楽と触れ合うことが出来て、嬉しかったのを今でも覚えてます。
ドイツ語でSpielenとは楽器を演奏するという意味もありますが、遊ぶという意味でもあります。お稽古や学ぶという視線から外れて、Klavier spielen ピアノで遊ぶレッスンがあってもいいと思っています。